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作成者別アーカイブ: nagano
茶の湯釜制作工程8,9 「上げ引き~ヘラ押し」
鐶付を型に埋め込んだらいよいよ模様の下地と釜の表面となる部分の作業に入ります。
荒引きの段階では50メッシュの砂でしたが、模様を施すにあたって#70→#100と砂のメッシュを細かくしていきます。これには模様関係だけではく、上下鋳型の接点の角をキチっと作るなどの理由もあります。
型に木型をセットしたら鐶付の中に詰め物をして砂が鐶付につかないようにします。乾燥した砂型の上にいきなり砂をかけてもしっかりと接着しないので、水を打ってから埴汁をかけて、#70の砂で引いていきます。
http://www.youtube.com/watch?v=r2Jqivj09EY
#70の砂をかけ終わったら木型に残っている砂を綺麗に取り、#100のすなをかけていきます。
http://www.youtube.com/watch?v=rzhcynUOszk
#100を掛け終ったら次はヘラ押し作業です。
写真では文字になっていますが、模様だと裏表が分かりにくいと思い文字にしました。
鋳造では模様などが鏡写しになるため、デザインした模様、文字などは薄紙に書いて逆さまにして鋳型に貼り付けます。貼り付けた上から文字をなぞる様に押して模様や文字を施していきます。
文字と模様をヘラ押しして反対側に打ち膚を施しました。
これは霰釜の鋳型です。横に入ってるラインは霰を打つときのガイドラインになります。
このヘラで1粒づつ霰を押していきます。
まずは基本となる霰を3粒~5粒程度押します。この時鋳型は柔らかくなっているので際の部分ではなく少し奥に入った4~5段目くらいにします。
ベースの霰が決まったら一気に作業を進めます。右の方にある大きな穴は鐶付が埋まっている部分です。白い所は砂が着いてきそうだったので離型剤(パーチングポーター)を着けて押した部分です。
打ち終わりました。この釜の霰は口元まで行っていませんので1500粒程度ですが総霰の真形釜ですと2500粒くらいにはなります。
この釜は総糸目の車軸釜です。この型は先ほどの映像でも説明しましたが、最後に木型を上げるときに少しでも砂が残っていると糸目模様にキズが付く事になるので非常に神経をつかいます。
上の釜に桐文をヘラ押ししました。
以上7・8の工程でしたが、吹き膚の説明は資料写真不足ですので後程詳しく説明したいと思います。
カテゴリー: 制作行程紹介
第1回金工による奏美展開催
第1回金工による奏美展
会期:平成22年10月21日(木)~27日(水)
会場:京王百貨店 新宿店6階京王ギャラリー(最終日は午後4時閉場)
*お呈茶ご案内(午後11時~午後4時)
10月21日(木) 裏千家 金沢宗維先生
10月22日(金) 裏千家 深瀬宗桂先生
10月23日(土) 表千家 吉田春子先生
10月24日(日) 裏千家 根津宗成先生
作家: 茶の湯釜・江田恵 長野新
彫 金・鹿島和生
鍛 金・木村太郎
唐 銅・広沢隆則 西由三
今回は先輩方との展覧会となりました、技術面や造形面ではまだまだの私の作品ですが、お近くにお越しの際は是非足を向けてください。
カテゴリー: インフォメーション
茶の湯釜制作 其の四~六
鐶付の製作工程
鐶付の制作工程を話す前に、少しだけ鐶付と鐶についてお話したいとおもいます。
鐶付は釜の中で唯一立体造形化された部分で、古い釜などの、製作地、時代を知るうえでもっとも重要な部分ともいえます。鬼面、遠山、獅子咬などの古様なものから。植物や動物、昆虫など様々なデザインの鐶付があります。鐶付はみなさんもご存じのとおり釜を持ち運ぶときに鐶を通します、本来、鐶は釜師の仕事ではなく打ち物師の仕事でした。有名なのが室町時代末期の「甲冑師:金森徳元」の作があり、近代では寺西宗山先生の作があります。
①鐶付の原型製作
鐶付は釜本体とは別に鋳型を作り出来た鋳型を釜の鋳型に埋め込んで作ります。釜1つ1つで鐶付と釜の接地面のアール(曲線)が違うので鐶付の型はその釜専用の鋳型となります。
まずは粘土で原型を作り石膏で型取りします。
写真の白い部分は挽いた鋳型から石膏で型どった鐶付の原型製作用の台座です。この台座は釜のアールと同じになるのでこの段階で狂いが無いようにしなくてはなりません。
写真では鐶付の種類が違ってますが、石膏で型取った原型です。原型の中央に出っ張った部分がありますが、そこが鐶付の穴になる部分です。
石膏原型ができたら、離型剤を良く塗って鐶付の鋳型用の土をつけていきます。この土は鐶付の模様などがよく写る様に細かい砂と埴汁を混ぜて半年~1年寝かせたものを使います。
釜1つに対して鐶付は2つあるのですが予備も含めて3つづつ作ります。このあと乾燥炉でよく乾かしてから焼成します。
焼成してるとこを上から見たところです。下で赤くなっているのは炭で、鐶付焼成用に細かくしてあります。
焼成が完了した鐶付の鋳型です。このあと凹んだ所に同じ土で作った棒をつけ再度焼成していきます。
棒を付けて焼きあがったら鐶付の鋳型の完成です。
このあと上型に埋め込んでいきます。
カテゴリー: 制作行程紹介
茶の湯釜研究会のご案内
茶の湯釜研究会
講師:二代 長野垤志
この研究会は茶の湯釜の歴史を検証しながら、茶の湯との関わりをお話します。また茶道と茶の湯の関係、これからの茶を皆様と一緒に考えていくものです。
入会金:3000円
年会費:20000円
予定
H22 11月14日(日) 開始13:30 浅草台東区民会館8F第一会議室
H23 3月27日(日) 開始13:30 浅草台東区民会館8F第一会議室
5月29日(日) 開始13:30 浅草台東区民会館8F第四会議室
7月24日(日) 開始13:30 浅草台東区民会館8F第四会議室
ご質問等は「お問い合わせ」よりご連絡ください。
カテゴリー: インフォメーション
「フルオーダーの茶の湯釜」について
長野工房では、お客様のお好みに合わせて完全フルオーダーの茶の湯釜制作をいたします。 寸法から釜膚、鐶付のデザインに至るまで、お客様のご希望を伺い世界に一つしかない、お客様専用の茶の湯釜を制作します。
また伝来の古釜の写しも、現在の炉のサイズに合わせて製作致しますので、詳しくは「お問い合わせ」よりご連絡ください。
カテゴリー: インフォメーション
茶の湯釜制作工程 其の3 荒挽き
木型を型枠にセットします。前、横、上から木型と型枠とのバランスをシッカリ確認します。
型枠に木型がセットできたら埴汁(粘土を水で溶いた液体)を型枠に良く塗り込み、荒挽き用の砂を入れてよく叩いて〆ていき木型を回します。
こちらの動画をご覧ください。
この砂が一番荒目の砂で、鋳造時に発生するガスが抜けるように荒目の砂を下地に使います。次に#50の砂を埴汁と水で溶いた50砂をかけて挽いていきます。
こちらの動画をご覧ください。
この後挽き終わった鋳型を良く乾燥させてから鐶付の埋め込み作業に移ります。
カテゴリー: 制作行程紹介
茶の湯釜製作工程 其の2 図案~木型制作
①で作った図案を元に木型の制作に入りたいと思います。
図案に紙を当てトレーシングペーパーで狂い無く写していきます。写した紙をあらかじめ切断しておいた鉄板にあてて貼り付けてカットソーや金ばさみなどで切断していきます。この時、中子(中型)を鋳型の中で浮かせるためのハバキのラインも決めていきます。
軸がすべての線のベースになります。上型と下型の合わせ目のラインも軸からズレていると大変な事になっていまいます。
右にかいてある「トウサイ」とは上型下型を合わせた時にズレないようにするための凸凹です。
この木型を型枠にセットして荒挽き作業をします。
カテゴリー: 制作行程紹介
新選組ARTIZAN-若手工芸作家による和工芸展ーIN浅草展の延期について。
先方様のご都合により会期が延期になりました。
皆様にはご迷惑おかけしますがよろしくお願い致します。
カテゴリー: インフォメーション
新選組ARTIZAN~若手工芸作家による和工芸展~浅草編
平成22年8月21日、22日に浅草アミューズミュージアムにて開催が決定しました。
展示内容は青山で展示した作品をもう一度・・・・・という事で浅草ですることにより
違った見え方があると思います。 皆さんのお越しをお待ちしています。
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茶の湯釜制作工程 其の1 「アイデア~図案制作」
1、日本伝統工芸展のような公募展用に製作する時はデザインを重視したイメージで考えていきます。
また、すでに形の決まっている釜(真形釜、阿弥陀堂、など)は資料を見ながら現在の炉のサイズに合わせたりして考えていきます。
フルオーダーの釜の場合は、サイズ、デザイン、鐶付のデザイン、蓋とツマミなど細かい部分での調整があります。それでは、大きく分けた3つの種類で説明していきます。
「公募展用作品のデザイン」
この場合はアイデアの段階ですでに作品の全容が決まるくらい図案がシビアになってきます。
今、自分が表現したい形や模様などを立体的なイメージでスケッチしていきます。この時大切なのが「デッサン力」と言われる技術で、私は「物を見る目」「観察力」「表現力」と言うような感覚でとらえています。作りたい作品のイメージが思いついたらとにかく紙に書くのが大切に になります。 時には1つの作品のイメージスケッチでスケッチブック1冊以上使う場合もあります。イメージスケッチができたら次は図案におこしていきます。縦、横、高さのバランスを考えながらも茶の湯釜としての機能もわすれてはいけません。
「決まった形の釜のデザイン」
すでに形が完成している釜については、デザインよりもサイズや模様、形などの表現の正確さが重要になってきます。正確にものを見れないとしっかりとした釜は作れないでしょう。ここでもやはり「デッサン力」が必要になります。真形釜であっても口の形状から羽の形状まで細部にわたりよく考えられた形になっています。資料をよく見ながら図案化していきます。
「フルオーダーの釜」
この場合は前に述べた2つとは異なります。
写真のような注文書をお客様と良く話し合い決めていきます。決めた事を忠実に再現しなくてはならないので図案を作る前の段階が1番重要かもしれません。話し合って決めた、サイズやデザインをもとに図案を制作していきます。
図案制作
いままで述べた3つを考えて製図作業に入ります。デザインが決まると細かい部分のサイズ調整をしながら木型の元となる図案を書いていきます。
縦のセンターラインを決め、上下鋳型の合わせ目であるケキリの線を決めます。鐶付やツマミのデザインもこの時にシッカリ決めていきます。模様や銘文などもこの時に決めて後の作業でヘラ押しをするときに間違わないようにします。(あとでヘラ押し作業の時に詳しく説明)以上がデザインから図案までの説明となります。次回は、木型の制作を説明致します。
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