12~ 中子制作編

このエントリーをはてなブックマークに追加

中子とは釜の中の空洞部分になります。どんな鋳造でもそうなのですが、この作業が一番重要な作業と言っても過言ではありません。作る品物によっては中子の事を考えて、鋳型を何等分かに分けて作る場合もあります。特に原型を元に作る品物、例えば銅像などがそれになります。 釜の場合特例を除いて基本的な形が上下に抵抗なく別れる形になっているので、多物釜や造形的な形で無い限り鋳型が2個以上になる事はありません。 7番で説明した通り鐶付に関しては中が空洞ではないので中子の必要がありません。

12-1
分板(ぶいた)作り(粘土板)

分板とは品物の厚みになる部分です。鋳造技法によっては分板を使わない技法もあります。

分板は粘土で作ります

白いのは珪砂で粘土が下敷きや伸ばし棒などに着かないように振り掛けます。

写真のように伸ばす分板の厚みのスケールを左右に置き、伸ばし棒で均一に伸ばしていきます。

12-2
中子砂作り~中子込め

分板のができたら中子用の砂を作ります。外型用の砂(真土「まね」)とは違い、中子用の砂は生砂と呼ばれる粘土気の無い砂(川砂)を使います。

川砂とおがくず(緩衝剤)を良く混ぜます。おがくずは鋳込みした際、冷却時に和銑の場合約1分(3mm)ほど縮みます。この時に溶けた鉄でおがくずが焼け、中子に少しの縮み代ができます。縮み代が無いと鉄同士が引っ張り合い割れの原因になってしまいます。

中子砂とおがくずを混ぜた状態。

砂の用意ができたら外型に分板を貼ります。この時外型とこれから込める中子に分板がくっつかない様に分板に珪砂を振るって離形するようにします。

鋳型に沿って分板を貼っていきます。(上型)

下型(尻型)にも分板を貼ります。

分板を貼った型にさきほど作った中子用の砂を詰めていきます。

小口を綺麗に整えます。

12-3
上下中子合わせ

上下の中子ができたら補強用のベタ土を十字につけます。

中央に開いた穴から針金を通し棒ではさみ中子と尻型を固定します。

http://www.youtube.com/watch?v=VDQaYyekf9o

12-4
中子乾燥

上下の中子を合わせたら乾燥炉に入れて一晩かけて完全に乾燥させます。

下で赤くなっているのはコークスを煽っている状態です。この後乾燥炉の戸を閉めて一晩待ちます。

12-5
中子出し~中子成形

完全に乾燥させたら中子を鋳型から出します。

http://www.youtube.com/watch?v=kYU2y6Lwh1s

型から出した中子は分板の隙間で出来たバリや上下の合わせ目の補強および成形を行います。

中子の成形が完了したら塗型をします。これは鋳物になった時、中子が剥がれ易くする効果と湯流れ(溶解した金属の事を「湯」と言います。)や、釜の内壁を綺麗にするなど様々な理由があります。


成形後の中子


塗型後の中子

この後、塗型液が乾燥するのを待って中子の完成です。

制作行程紹介

コメントは受け付けていません。